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夜が明けても傍にいて。

第3章 あなたに抱かれる

本当にあなたが来てくれるのか不安だったけど...



“ピンポーン”

あれから20分程でチャイムが鳴り
あなたが現れて思わず頬が緩む。


私は久し振りに恋人に会えた感覚に陥った。


昨日のスーツ姿もステキだったけれど
今日の大人カジュアルな感じもとてもカッコ良くてモデルさんみたいだ。


昨日と同じ位置に腰を降ろした彼は
また今日も沢山買い込んできたアルコール達をテーブルの上に並べ始めた。


冷蔵庫の中にまだ沢山あるのにな...。


「はい、これ。」
そう言って私の目の前に置かれるカシスオレンジ。


昨夜と同じ光景だ。


---でも、

私の好きなものを一つでも覚えてくれた。
それがとても嬉しく思う。





「ねぇ、
名前...聞いちゃダメかな?」


私は嗜好品をたった一つ覚えてもらっただけで浮かれていたんだ。


------


「ほら、番号教えてくれたでしょう?
登録するのに名前が必要だよ...ね。」



私のその言葉に彼は淡々と答えた。


「じゃあさ、“ゆうじん”でいいよ?」


---友人?



「遊ぶ、人って書いて遊人。」


「それって...本名?」


「いや、違うね。」



「......。」






シャットアウトされた気分だった。



やっぱり、名前なんて聞こうとしなきゃ良かった。

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