テキストサイズ

夜が明けても傍にいて。

第16章 泣いていた君

残した携帯番号に莉菜は電話をくれた。


俺は愛花を忘れられないまま莉菜を
抱いていた。


だけど、身体を重ねれば重ねるほど
莉菜の表情が泣いているように見えた。


そのうち終わりにしようって言われるんじゃないかと思って面倒な話はするなと言った。


全部、俺の勝手な都合だった。


俺は支社に異動になって莉菜の直の上司になった。


莉菜は特別仕事が早いわけでも仕事ができるわけでも無かった。上司として厳しいことを言うのは当たり前のこと。


今まで落ち込んでいる奴を見るとイライラしていた俺だが、しゅんとしている莉菜も可愛いなと思うようになっていった。




何よりも俺の気持ちを動かしたのは石田だった。
アイツは俺の中途半端な気持ちを見逃しはしなかった。


次第に石田と莉菜が話しているだけで俺はイライラするようになっていった。


今思えば石田にまんまと嵌められたのかもしれない。



そして、いつの間にか
莉菜の全てに惚れていた。



莉菜のことが好きだと自覚してからは莉菜の気持ちが気になって仕方なかった。


莉菜は俺に好きとは言わなかった。


もしかして、身体の関係だけと割り切っているんじゃないか、そう思うと振られるのが怖くて


終わるのが怖くて莉菜に好きだと言えなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ