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夜が明けても傍にいて。

第17章 合鍵

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それからすぐに初めて合鍵を使う日がやって来た。


慎也が少し遅くなると聞いて、私はご飯を作って待っていることにした。


慎也の部屋に入るとハナがもの凄い勢いで出迎えてくれる。


「ハナー、ただいまぁ。」


あっという間に顔はよだれまみれだ。


こんなにハナの喜ぶ姿を見ると、慎也が夜中のうちに家に帰る気持ちもわかる。


ずっと一人でご主人の帰りを待ってるんだもんね…。


できるだけ会う時は慎也の部屋で会うようにしよう…。


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それからは慎也の部屋で会うことが多くなっていった。


私の家のキッチンより慎也の家のキッチンの方が広くて使い心地も良く、そこで料理を作るのが楽しかった。



私は徐々に行動範囲を広めて忙しい慎也のためにお掃除もするようになっていった。



そんなある日のこと---


いつものようにご飯を作り終えても慎也が帰って来ないので掃除をして待つことにした。


慎也の書斎で掃除機を掛けている時だった。

本棚に掃除機を割りと強めにぶつけてしまい、そのはずみで“ガサ”っと何かが落ちた音がした。


何だろう?



本が敷き詰めて並んである中でそれは本が落ちた音では無くて…。



本の後ろ側に封筒のような物が見えた。

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