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夜が明けても傍にいて。

第18章 不信感

「莉菜ちゃん…。」


幸太は私を抱き締める腕に少しずつ力を入れる。


「ねぇ?課長と別れたら俺と付き合ってよ。」


---え?…。


「前にさ…付き合うなら俺のこと好きになった時じゃないと嫌だって話したけど

そんなの待ってたらまた莉菜ちゃん他の奴に取られちゃう。」


「幸太、ちょっと待って…。」




「莉菜ちゃ...、

.........莉菜。」


!!!


幸太に初めて名前を呼び捨てにされ、ドキッとした。



「莉菜、って俺も呼びたかった…。」






私が何も言えないでいると


「はい、予約しましたー!」


そう言って幸太は急にガバッと私から離れた。



「莉菜の次の彼氏は俺ね?

キャンセルはしないよ?」


「…。」





私は---慎也のことが好き。


だけど、幸太の優しさに触れたい時もある。
幸太に甘え過ぎているのかな…。


幸太にここまで言ってもらえて嬉しいって思ってしまう自分も居る。


幸太は…そんな中途半端な私の気持ちに気付いてる?




............

......




私が黙っていると、幸太が隣で溜め息を吐いた。




「莉菜は…自分の意見、ある?」


「…。」



「莉菜はフラフラし過ぎ。自分でわかってる?
こういう時ははっきり自分の考え言わなきゃ伝わんないよ?


課長だって…今、莉菜が何を考えているのかわからなくて不安なはず…。


ほんと、アンタら二人、面倒だよな。
俺が何しても離れて行く一方なんだから。」


「幸太…?」


「次は無いから。」


「え?」


「いつまでも本人に言いたいこと言わないでフラフラしてたら、俺、莉菜のこと力づくで奪うよ。」


「力づくって…?」




「狼になるってこと。」






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