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夜が明けても傍にいて。

第4章 あなたの名前と私の名前

「おはよう、莉菜ちゃん。」

「おはよう、幸太。」


私の同僚石田幸太(いしだこうた) 同い年だ。
“遊人”程では無いけどイケメンで社内でも割りと人気がある方だ。


実は以前一度幸太を振ったことがある。


私はその時ダメ男にぞっこん中だったのだけど
こんなに優しい人を好きにならずにダメ男を選んだ私はやっぱり変わり者?


幸太は気にすんなって
その後も態度が変わることは無かった。


心までもがイケメンなのだ。


「おはよー、莉菜幸。」


「おはよー、美穂。」

「おっす。莉菜幸ってまとめて呼ぶんじゃねーよ。」


「それよりもさぁ、聞いた?今日本社から来る新しい課長って相当怖いらしいよ?」


「マジ?俺、尊敬できる人だったら別に怖くても構わないけどな。」


「どうする?冷酷でただ口の悪い男だったら。」


「そんな人が本社で認められるわけないよ。
きっと、実力者なんだよ。」


「幸太...随分前向きね。」

「ありがとう、美穂。」


「たまにそのポジティブさが痛々しいけど。」

「うるせー、黙っとけ。」


二人の会話はとても心地良くて
一週間の始まりには最高の朝だった。





この時はまだ、


---何も知らなかったから...。

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