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広いフロアで私達はそれぞれ自分のデスクに座り仕事をしながらその時を待っていた。


部長に案内されて一人の長身の男性が颯爽と入ってきた。




－－－私は、心臓が止まるかと思った。




“遊人”がそこに居たから。




彼はまだこちらには気付かない。


「本社から来た課長の北崎だ。
よろしく頼む。」



－－－きたざき？



まさか、こんな形で名前を知るなんて思ってもみなかった。




「今までのようなやり方では会社は伸びない。これからは俺のやり方に従ってもらう。」

いいな。と北崎課長が周りを見渡した時

目が合った。



と思ったのに...

課長は何の反応も無く、自分のデスクに座った。



「ちょっとちょっと何あの態度。
偉そうに。前の課長の方が気さくな感じで良かったなー。」

隣の美穂が耳打ちする。


「そ、そうだね...。」

美穂には彼とのことは話してない。
今更話せる訳がない。


フロア内は緊張感に包まれていた。