夜が明けても傍にいて。
第23章 ただ…好きなだけ。
「なぁ、莉菜…一緒に暮らさないか?」
帰る前の一服をしながら唐突に言い出した。
「前から思っていたことだ。
俺の家に、来いよ。」
「…。」
…………。
「なんだ、嫌なのか?」
「嫌じゃ、無い…けど。」
「じゃあ、何だ。」
「同棲は、お父さんが駄目だって…。」
男の人と初めて二人で暮らすのは結婚してからじゃなきゃ駄目だって昔から耳にタコが出来るくらい言われてるもの…。
だけどそんな理由、結婚を催促するみたいで言えないし。
「お父さんが……か。」
「…?」
「お父さんに怒られるのが嫌なのか?」
「え?」
「俺と一緒に住みたいっていう気持ちが
弱いってことだな。」
「ち、違っ…。」
「はい、わかりましたよ御姫様。」
---慎也…。
完璧拗ねちゃった…?
「ただ好きなだけでいいなんて、嘘だったな。
俺の方が好きが強いみたいで
寂しいなぁ…。」
慎也はそう呟いて
天井の方を見上げながらタバコの煙を大きく吐いた。