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夜が明けても傍にいて。

第4章 あなたの名前と私の名前

---課長...



まさか...幸太とも課長みたいな関係とか思ってないよね?



私と幸太のこと勘違いしてないよね?


“宮西を頼む”


上司としてただ単に、ちゃんと送ってやれって意味?


私が他の男の人と二人で帰っても平気なの?
全然気にならないの?





「莉菜ちゃん、顔色悪いけど大丈夫?」


--大丈夫じゃない、大丈夫じゃないけど。


「大丈夫だよ。やっぱり飲み過ぎだねー。」


「---莉菜ちゃん?」


いくら強がっても隠せない。
私...自分の気持ちを隠すのが--下手だ。



涙が溢れる。


それを誤魔化すように窓際に寄りかかって顔を隠した。



---幸太は...
それ以上話し掛けては来なかった。


私の家の前にタクシーが着くと幸太に二千円を乱暴に押し付け素早く降りた。


「幸太、ありがとっ。」


それだけ言って急いで鍵を開けて部屋の中に飛び込んだ。



一人になると外に出るのを我慢していた涙達がぶわっと溢れてきた。




北崎...さんに…




---会いたい。




こんなに会いたいのに...。


こんなに赤くなった目を見たら
絶対引かれるに違い無い。



ウザい女なんて---

思われたくない。




あなたと出会ってから電話をしない間隔が一週間以上空いたのは初めてだった。

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