夜が明けても傍にいて。
第37章 番外編⑥
「そろそろ私達、帰るねー。」
え!!
「ちょっと美穂、待ってよ!」
帰ろうと玄関に向かう二人を追い掛けた。
誰のせいでこの状況だと思ってる訳?
「莉菜ちゃん、身体に気をつけてね。」
幸太…帰んないでよ…。
美穂は靴を履き終えると私の耳元で囁いた。
「いやー、ほんっと、課長面白い。」
「もう、美穂が慎也を煽るからぁー。」
私も半泣き状態だ。
「でもね、莉菜…自分で選んだ病院なんだからちゃんとわかってもらうのよ?」
「?」
「課長だって父親になるんだから
いつまでも妬きもちバカのままじゃ困るでしょ?」
妬きもちバカって…。
「上手く調教しなさいよ?
母親は強くなきゃ。」
じゃ、頑張って。
そう言い残して帰って行った。
リビングに戻ると、一人ソファーに座っている慎也の後ろ姿が見えた。
二人を見送りもしないで…。