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夜が明けても傍にいて。

第37章 番外編⑥

私は落ちた箸を拾ってキッチンに…逃げた。


が、



逆効果だった…。


無言でキッチンに向かって来る慎也の表情は
何とも哀しみに満ち溢れていた。



「莉菜…。」


声までが哀しんでいるように聞こえてしまう。



「何…?」



「なんで、あの病院にしたんだ?」


「なんでって…。」


「先生が、タイプだったのか?」


「違うよ…。

口コミでも評価が高かったし、ここから近い方が慎也が仕事中で家に居なくても何かあった時、一人でもタクシーで行けるし…」


悪いことをしている訳でも無いのに説明が早口になってしまう。



「莉菜…、女の先生の産婦人科に…

変えようか?」


「…。」



「こんな時までって思われるかもしれないけど、
俺からすれば先生だって一人の男だ。」



病院ではあんなに嬉しそうに、妻と赤ちゃんをよろしくお願いしますって言ってた癖に…。

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