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蘭子は、会社より高いビルから覗く月を見ながら

綾人を想い出す。。


ツートンカラーの長い髪
笑うと八重歯が見える
手足が長く
蘭子の背中をまるっと
包む。


溜め息を今日何回つくのだろう


いや。毎日、最近は溜め息だらけ


あの人を忘れた海辺
綾人を受け入れた海辺


蘭子は、背伸びをして
月を背中に
鞄を肩にかけて
会社を出た。


ポツポツ雨が降ってきた。。


「あー！雨。。傘。。コンビニでビニール傘買おう」

速足で、イレブンセブンのコンビニに向かう。


ハンカチで髪を拭き
コンビニのドアを開ける


黒と白のビニール傘を両手に持ち
悩んだ。。


今までなら白。。


今までならね。。あ。。！今日の占いで
ラッキーカラーが黒って書いてた。。

んだら
黒にしよっと。。


雨は、どんどん降ってきた。。


蘭子は、どんどん不機嫌になっていた。
お腹すいた。。脳内は、色気より食い気が
勝っていたから。



マンション前の灯りを見ながら
黒の傘をクルクル回して、、、、
電話ボックスを横ぎった




横ぎった



「え？！綾人君？！寝てる。。？」


電話ボックスを開けようとしても
綾人の身体で動かない


「ん？あれ。。前にもあった。。こんなこと」


蘭子は電話ボックスの扉を思いっきり開けた



「いってぇー！！
だれだよ！」



綾人は、固まったまんま

正座して謝る


「蘭子しゃん、、、ごめんなさい、、、」



ハックション！ブファ


「鼻水垂れてる。。ほらハンカチ。行くよ。」


蘭子は、微笑みながら
黒い傘をクルクル回した。。



「まってよ！蘭子さん！ハックション！」


黒いマスクを下げて
ハンカチで鼻をかんだ



「洗って返しなさいよね！」


目をウルウルさせながら
綾人は、蘭子の腕を持つ



「蘭子さん。。怒り狂ってる？」



「そらね、、、凄く怒り狂ってるわよ！」



雨は、より一層
深く
深く
降り続いた。