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「……それでもっ……ひぎゃっ？！」

言い返そうとした蘭の言葉は、和佳の般若のような顔に飲み込まれる。


「和佳ちゃん怖い！ 顔が怖いーっ」

ブルブルと震えて後退る蘭。


「あ…」

和佳の表情がフッと緩んだかと思えば、蘭の背中がドンッと何かにぶつかった。


「……お前、鈍臭いんだから後ろ向きで歩くなよ」

聞き慣れた声。聞き慣れた悪態。


「むぅっ」

嬉しそうに振り返った蘭。

その顔を見たむぅは一気に表情を曇らせた。


「……悪ぃ…痛かったか？」

スッとむぅの手が、蘭の赤く腫れたオデコに触れる。

ドキッ…
心配そうに覗き込むむぅの顔に、蘭の心臓が小さく跳ねた。