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嘘でもいいから

第10章 あの、小さな手〜想side〜

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今日、俺の母さんが死んだ。


川に流された子供を助けようと
カナヅチだった母さんは
川に飛び込み…死んだ。

子供は他の通行人によって助けられ…
母さんだけが死んだ。

母さんの友人は
何でそんな無謀なことを…と
口々に言ったが、俺には
母さんの気持ちがわかる気がした。


その子供は4歳の女の子。


母さんが泣く泣く手離した時の優花と
ちょうど同じくらいの子供だったんだ。


母さんに、俺の他に子供がいたと
知っている人間は周りにいない。
母さんも何も言わない。

でも、俺だけは知っていた。
優花の誕生日には、毎年なんだかんだ
理由をつけてケーキを買ってくること。
そしてその夜は、必ず夜中に独り
泣いていたことを…

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