星も、パンも
第14章 星は、居場所を見失う…
「大変だったんですね――…」
先生は、日傘をずらして空を見た――――…
「出産の時…力み過ぎて、血圧上がったみたいで…脳を圧迫しちゃってね…酷い頭痛に…おう吐、痙攣して意識を失ったんだ…」
「羚君…は?」
「羚君の事を、無事に産んだ後だったから…問題なしだったんだ…
でも――――――…私がね…
脳をやられたから…作家活動は無理かもしれないって―――…パパや両親はホントに……心配し続けたと思うんだ…
私は…羚君を普通に産んだつもりだし…私がそれで命を落としても、何かしらの障害が残ったとしても…
羚君が元気に生きていてくれさえすれば…それで満足!なんだよ…
でも…喉元すぎれば――…
羚君に兄弟をって思ってしまう時があるよね…
羚君だけでも――――…奇跡なのに…
私が、後遺症もなく目覚めた事も…奇跡なのに…」
沈黙が続く―――――…
命を産み出す――――…
命がけで――――――…
「ヒロ君は?ご兄弟は?」
トックン―――――…
ヤ太郎――――――――…
「――――…います…
双子の…兄が―――――…」