シアワセ
第1章 始まりと終わり
「清華ちゃん。ご指名だよ」
「いま行きます」
鏡の前で深呼吸をする
「………ふぅ」
「あら、清華?どうしたの?」
後ろから声をかけてきたのは由利恵
同じお店で働く先輩だ。
ここは風俗店。
いわゆる、男の人が性的欲望を吐き出しに来る場所。
私たちは体を売ることでお金を稼ぐ
いわゆる風俗嬢。
「………由利恵さん。いえ、少し眠くて」
「昨日のお相手は寝させてくれなかった?」
「…ええ、まぁ」
もう何人の人と寝ただろうか
数えてなんていられない。
慣れた。
この暮らしにも
男に体を売ることになにも、感じなくなったわ
「よし、行ってきます」
「えぇ」
そういって、私はしっかりセットした髪の毛をととのえ、胸元のひろくあいたドレスを確認してお店へ出る