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シアワセ

第1章 始まりと終わり



ここは少し他の風俗店とは違う。


一人一人の部屋があって

そこでお客さんと一対一でお酒を飲む

もちろんその部屋には1つの大きいベッドとシャワー室がある


このお店
No-nonは知る人ぞ知るお店であり

その存在を知るものは数少ない

そしてこの店のオーナーが天涯孤独だった私を拾ってくれた。

そして、生きるために金を稼げ、と。
生きるために這いつくばれ、と。

そう教えてくれた。


だから、私はこの体で金を稼いで
この体で生きていく。

世の中には、その人の事も何も考えず
強制的に風俗嬢にさせたり

騙して風俗嬢にさせたり

色々いるらしいけど
この店は信頼している

だって
この天涯孤独の私を拾ってくれた。

居場所をくれた

それに周りの人もすごく優しい

皆、家族がいなかったりする人ばかりだ

オーナーは嫌がる人には裏の厨房などの仕事をさせているし
それでも稼ぎたい人には店に出てもらっている

本当に感謝しきれないほどだ

「あれ、清華。どうしたんだい?」
「あ、オーナー」

気がつくとオーナーが笑って私の目の前に立っていた

長身で、にこにことしている
優しそうな顔だ

「これからルームの方に」
「そうかい。お客さんを待たせちゃいけないよ」
「はい」
「あぁ、それから…明後日は非番にしなさい。少し休むんだ」
「え、でも」
「……そんな顔をしてお客さんの前に立たす訳にはいかないよ」

そう微笑むとオーナーはオーナー室に消えた

私は少し微笑むと、自分のルームに向かった





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