シアワセ
第2章 悲しい娘 喜一side
「そうか」
「……たまには、家に帰ってこいよ」
「…仕事が一段落したらな」
「わかった」
俺は、そのまま兄の部屋を出る
「………はぁ」
ひとつため息をついて、俺は歩き出す
そして受け付けに向かう。
「清華ちゃん指名で」
「かしこまりました。どうぞ」
調度、清華ちゃんを指名している声を聞いて少し胸がドキリとする。
「……」
そいつはコンドームをもらい、清華ちゃんの部屋へとまっすぐに向かう
アイツとも、体を交わすのだろうか
そこに、嫉妬とか、そういうのは感じない。
何故だか
彼女は、望んで体を重ねてるわけではないのだと感じたから
「………先、越されたな」
「あれ?城端さん?」
すると俺の耳に聞き慣れた抑揚のない声が届いた
「…清華ちゃん」
「来てたんですね」
「あぁ。でも、先約されたみたいだね」
俺がそういって笑うと、相変わらず少し寂しそうに微笑む清華ちゃん
「…えぇ。私はお客様のお酒の注文に来たんです」
「そう」
なるべく淡々と答える
「それじゃ、お客様をお待たせしているので…また、お越しになってください」
にこりと微笑むと、俺の横を通りすぎようとする
俺は、すれ違う清華ちゃんの腕を半ば反射的につかんだ
「………え?」
「……」
「あ、あの……城端さん?」
「…っ」
俺は、そのまま本能的に彼女を抱き締めた
「ちょ、城端さん?!」
「……」
俺は風俗嬢なんて嫌いだった
妬みの対象でしかなかった
汚れたものだと、思っていた
なのに、どうして彼女はこんなにも美しいのだろう
儚く消えてしまいそうだ
「………城端さん…」
腕の中の呟きで、ふと我に返り、抱き締めていた体を急いで離す
「…すまない。また、来るよ。抱擁もしたことだしね」
俺は、笑顔を作って彼女の頭を撫でる
彼女は、少し困ったように微笑み頷いて
足早に部屋へと向かった
その後ろ姿を見て思う。
なんて、美しい娘だろう
そして
なんて、悲しい娘なんだろうか
「……たまには、家に帰ってこいよ」
「…仕事が一段落したらな」
「わかった」
俺は、そのまま兄の部屋を出る
「………はぁ」
ひとつため息をついて、俺は歩き出す
そして受け付けに向かう。
「清華ちゃん指名で」
「かしこまりました。どうぞ」
調度、清華ちゃんを指名している声を聞いて少し胸がドキリとする。
「……」
そいつはコンドームをもらい、清華ちゃんの部屋へとまっすぐに向かう
アイツとも、体を交わすのだろうか
そこに、嫉妬とか、そういうのは感じない。
何故だか
彼女は、望んで体を重ねてるわけではないのだと感じたから
「………先、越されたな」
「あれ?城端さん?」
すると俺の耳に聞き慣れた抑揚のない声が届いた
「…清華ちゃん」
「来てたんですね」
「あぁ。でも、先約されたみたいだね」
俺がそういって笑うと、相変わらず少し寂しそうに微笑む清華ちゃん
「…えぇ。私はお客様のお酒の注文に来たんです」
「そう」
なるべく淡々と答える
「それじゃ、お客様をお待たせしているので…また、お越しになってください」
にこりと微笑むと、俺の横を通りすぎようとする
俺は、すれ違う清華ちゃんの腕を半ば反射的につかんだ
「………え?」
「……」
「あ、あの……城端さん?」
「…っ」
俺は、そのまま本能的に彼女を抱き締めた
「ちょ、城端さん?!」
「……」
俺は風俗嬢なんて嫌いだった
妬みの対象でしかなかった
汚れたものだと、思っていた
なのに、どうして彼女はこんなにも美しいのだろう
儚く消えてしまいそうだ
「………城端さん…」
腕の中の呟きで、ふと我に返り、抱き締めていた体を急いで離す
「…すまない。また、来るよ。抱擁もしたことだしね」
俺は、笑顔を作って彼女の頭を撫でる
彼女は、少し困ったように微笑み頷いて
足早に部屋へと向かった
その後ろ姿を見て思う。
なんて、美しい娘だろう
そして
なんて、悲しい娘なんだろうか