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彼女

第11章 真実

だから私が成長しても親らしい事をしたくなかったの。保育園に預けっぱなしだったり、入学式も参観日も運動会も卒業式も私はいつも一人だった。
中学生になったら、いろんな事で、ますますひどくなって…そんな時、亮くん達の事をクラスの女の子達が騒いでたから教えてもらったの。でも私みたいなのが話かけたり好きになったりしたら、騒いでる女の子達の輪に入るのも、きっと迷惑がられるからやめようって……そう思ってたら、一部の女の子達が匡史くん達の悪口を私が言ってたって嘘つかれて、あの時…恐くて心臓がキューってなったの。でも後から、お母さんに「死ねば良かったのに。」って言われた事のほうが恐くて堪らなかった。中学卒業したら、お金を持たされて「帰って来るな。保険金かけてるからできるだけ早く死んでしまえ。」って捨て台詞(ぜりふ)吐かれて追い出されたの。いろいろな仕事して…まだ子供だったから出来る仕事は限られてたけど、贅沢さえしなければ生活出来たから。ようやくまともに生活出来るなぁって思ってたら、アパート焼けてて亮くん達とこんな風に生活するようになったの。
小さい時から、なんでも一人だったから最初は不安で仕方なかったの。私とご飯食べてくれたり、遊びに連れて行ってくれたり…全て夢だったんじゃないかって、きっとまた嫌われるって思ってた。
亮くんの事を好きになってしまって、亮くんにまた迷惑かけるんじゃないかって…そう思ってた時に同窓会の話を聞いた時、私はやっぱり迷惑をかけてるんだって、入院までしてしまって……ごめんなさい。謝っても許してもらえないかもしれないけど、本当にごめんなさい。」
俺達は、美波の手を握りしめて
吉沢「話をしてくれてありがとう。」
永瀬「俺ら美波を追い出そうなんて思ってないから…。」
白石「俺達のほうこそごめん。気づいてやれなくてごめん。」
佐藤「美波ちゃんって俺の初恋の人だったんだな(笑)」
「…えっ?…」
佐藤「俺、中学まで誰かを好きになるなんてなくてさっ。そうしたら、ある女の子を好きになったんだ。笑顔が儚(はかな)げで目を反(そ)らす事ができなかった。黒髪のロングで可愛い子だったよね(笑)」
「私なんて可愛くなかったよ。」

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