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彼女

第11章 真実

急いでナースコールを押した。
一方的に罵られてる美波はガタガタと体が震えている。それを見た父親が襟を掴み、体を抑え込んでいる。
医者や数人の看護師が父親を抑え込んだ。
警察に通報して捕まってパトカーに乗るまで罵倒し続けた。
美波はショックのあまり気を失ってしまった。
それを一部始終見ていた俺達は
佐藤「なぁ…このままにしてていいのか?美波ちゃんが出て行っていいのか?」
吉沢「ダメに決まってるだろ。」
「…んっ…」
吉沢「美波…?」
目覚めた美波の様子が、おかしい。いつもなら、「亮くん」って…言ってくれるのに…
吉沢「美波?」
美波は大粒の涙を流した瞬間、美波の左手首から血が滴(したた)り落ちてきた。
医者と看護師がびっくりして止血しようとしたら、美波はやめてと言わんばかりに抵抗した。
医者「さっきの父親の仕業か!こんなところにカミソリの刃が…」
看護師A「抵抗するのは、やめなさい!あなたはまだ若いのよ!」
看護師B「先生、声が出ないみたいです。」
医者「声が?」
俺は叫んだ。
吉沢「美波!俺を置いて行くな!死ぬな!」
美波は俺だけを見ている。
涙がこぼれる。
声の出ない美波は
『亮くん…大好き!』
と口を動かした。
抑えつけられ、早めの処置のおかげで命は助かった。
吉沢「美波…退院したら、また俺の傍にいてくれよ。美波を俺が守るから!」
美波は優しく微笑んで、頷いてくれた。


2ヶ月後

無事、退院した美波だけど、声が出ないままだった。


美波は会社に迷惑がかかるからと退職してしまった。
声を出さなくても、できる仕事を見つけ働いてる。
俺達は、そんなに慌てて働かなくてもいいって言ったんだけど、迷惑かけるからって……だからって訳じゃないけど、終わる時間に迎えに行く事にしてる。行ける奴が行ってる。


半年後


ようやく声が出るようになった美波が教えてくれた。
「私、家族に嫌われてるの。私だけ顔が似てないの。お父さんもお母さんも素敵で綺麗なのに、弟も妹もそうなのに私だけブスで…」
美波は声が震え泣きながら
「私が生まれた時は、すごく喜んでくれたらしいんだけど、大きくなるにつれて自分達とは似ても似つかないブスだから、いろいろ調べたけど、やっぱり娘だったってわかった時は辛かったみたい。

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