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君の隣の相棒さん、

第22章 愛という名の譜面(甲※)

誰もいなくなったはずの音楽室から聴こえてくるピアノの音。
優しくて柔らかい、少し硬いイメージのクラシック曲も、何処か聴きやすいものに感じさせる。


そんな音を出せるのはきっと、彼女だけだ。


「ピアノ、引けたんだ」


『あ、カイトさん‥ええ。一応絶対音感は持ってますから。カイトさんも確かお持ちでしたよね?絶対音感』


「うん。一応ね」


限りなく防音の音楽室でも多少は漏れ聞こえる音があり、分かる。
彼女が奏でる音は、一つひとつが美しく繊細さがある。

俺が好きな音楽がまさに彼女だった。


『それでどうでしたか?何か進展はありましたか?』


「いや、特には。皆事件の話しになると口硬くて。参っちゃうよねえー…」


渋い顔をする俺に苦笑いを浮かべる彼女。
ピアノをしまい始めた彼女はすっかり帰る体勢に入っていて、俺はすかさず立ち上がろうとした彼女の肩を押さえて引き留める。

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