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君の隣の相棒さん、

第23章 ラムネの彼、(大)

私は正直、彼女が特命係にのめり込んでしまうのが怖い。
恐らく彼女は杉下右京と波長が合う。そこが怖いのだ。


なかなかの切れ者な彼女なら、杉下右京の考えていること、なすことのすべてを理解してしまうのだろう。
そうなったら彼女は、杉下右京という男で染まってしまう。


一瞬、身の危険すら感じた私に彼女がそっと寄り添う。


『ネクタイ、曲がっています』


「ん、ああ‥すまない」


スッと慣れた手つきで私のネクタイを直す彼女。
その後で、自分のネクタイも軽く直していた。


この習慣が、いつか特命係に奪われてしまうのでは…


そう考えたときには、私は彼女に言っていた。


「…今夜も空けておきなさい」


『はい。喜んで』


エレベーターが開く。
特命係へと向かう途中、私の隣で“甘い”と呟く彼女の声を聞きながら、何処からともなく取り出したラムネ菓子を一つ噛み砕いた。




(ラムネの彼、)
(ラムネのように甘い、彼女の甘味な声に酔いしれて)



END

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