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君の隣の相棒さん、

第35章 それでいい(伊)

俺があの人と会ったのは特命係。
ソンの同期だという女性監察官で、面識と言えば時々廊下で擦れ違ったときに挨拶を交わすくらい。

これは、俺がそんなあの人の意外な一面を目撃することになった話し…。



────その日は特に大きな事件があった訳でもなくいつもより暇だった。
あの人も暇だったのだろう、特命に姿があった。

何で俺が此処に来たかと言えば、また捜査に首を突っ込んできた警部に一言いってやろうと思ったのと、同じく特命に来ていた芹沢が余計な情報提供をしていたことに一発喝を入れてやろうと思ったからである。

そしてそこにたまたま居合わせたのがあの人だった。



『チェックメイト』


「ぁ、またやられた‥んもー、強すぎだってーっ」


『これで私は三勝無敗。まだまだね、尊』



同期でチェスをしている。
ふいに、あの人が笑っているのが見える。
初めて見たあの人の楽しそうな笑みは、思わず俺の心もくすぶられていた。

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