
君の隣の相棒さん、
第35章 それでいい(伊)
「あ、伊丹さん。どうしたんですか?」
「おしゃべりな芹沢を連れ戻しに来ただけですよっ」
急にチェスに負けまくってしょげていたソンが芹沢をつまみ上げている俺に声をかける。
その真ん前でチェスの駒を弄っていたあの人が、座ったまま俺に向けて頭を下げて挨拶をした。
そんなあの人に、ついそのままの勢いで言ってしまっていた…。
「これはこれは監察官様。今日はまた何をしに?」
「ぁ、いや、これには深いじ『暇潰し、と言っても納得しないんでしょうね。‥此処へは私の個人的な事情で来ています』」
と、ソンの言葉を遮るように言ったあの人は何処か寂しそうな表情をしているように見える。
そこで言葉を止めておけばいいものを、その時にはまだ何も知らない俺は更に問いを重ねてしまう。
「どんな事情から知りませんけど、貴女の上司様は黙っていないんじゃありませんか?」
一瞬、鋭くなる視線。
それに気付いたソンがあの人の肩に手を置くとその視線は一転して元に戻る。
俺はあの時、あの人に聞くべきではなかったことを平気で聞いてしまっていた…。
「おしゃべりな芹沢を連れ戻しに来ただけですよっ」
急にチェスに負けまくってしょげていたソンが芹沢をつまみ上げている俺に声をかける。
その真ん前でチェスの駒を弄っていたあの人が、座ったまま俺に向けて頭を下げて挨拶をした。
そんなあの人に、ついそのままの勢いで言ってしまっていた…。
「これはこれは監察官様。今日はまた何をしに?」
「ぁ、いや、これには深いじ『暇潰し、と言っても納得しないんでしょうね。‥此処へは私の個人的な事情で来ています』」
と、ソンの言葉を遮るように言ったあの人は何処か寂しそうな表情をしているように見える。
そこで言葉を止めておけばいいものを、その時にはまだ何も知らない俺は更に問いを重ねてしまう。
「どんな事情から知りませんけど、貴女の上司様は黙っていないんじゃありませんか?」
一瞬、鋭くなる視線。
それに気付いたソンがあの人の肩に手を置くとその視線は一転して元に戻る。
俺はあの時、あの人に聞くべきではなかったことを平気で聞いてしまっていた…。
