君の隣の相棒さん、
第38章 冷たい瞳(伊※)
─────バンッ…!
─────バンッ…!
無機質に響く銃声。
長い髪を一つに束ねてヘッドホンをつけ、真っ直ぐ的に銃口を向ける一人の女刑事。
右手だけで構えた銃は的確に真ん中を撃ち抜き、身体に硝煙を纏わせる。
ヘッドホンを外した女刑事は、手をブラつかせてから火薬の無くなった弾丸を掌に落とした。
「相変わらず凄いな、お前の銃の腕は」
『いえ、まだ…でも週4で来てる甲斐はあります』
「そうか。あ、だからいつも火薬の匂いが‥」
『ん、やっぱり匂います?』
カチャリと新しい弾丸を入れ直すと両腕の匂いを交互に嗅ぐ彼奴。
ちょっとな、というと彼奴は申し訳なさそうに頭を下げた。
「まぁ、ちょっと休めよ」
『あ、はい』
彼奴が好む缶のブラックコーヒーを手渡すと持っていた銃をディスクの上に置き、射撃場隣の休憩室へと脚を向けた。