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君の隣の相棒さん、

第38章 冷たい瞳(伊※)

缶コーヒーを飲み掌を見詰める彼奴を横目に、俺は思う。


────彼奴が銃を練習し続けるのには理由がある。
二回に一回は練習を見ている俺が彼奴を見るとき、彼奴からはただならぬものを感じさせられていた。



────憎悪や空虚に似た“復讐”という名の狂気…。



それは彼奴が父親を亡くしてから始まったことだった。

彼奴の父親は、今も逃亡し続ける何者かに殺されていた‥‥。



「‥‥また考え事か」


『え‥‥?』


「冷たい目、してるぞ」



はっ、とした彼奴が俺から目線を外すと缶コーヒーを飲み干す。



『すいません。銃を持った後はいつも考えちゃうんです‥』


「そうか‥‥なぁ、ずっと聞きたかったんだけどよ、何でそんなに銃にこだわるんだ?」



飲み終えた缶を捨ててまた射撃場へと出向く彼奴についていく。

それから無言で銃を俺に向けた彼奴がそっと呟く様に、でも強く確かに言った。

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