テキストサイズ

君の隣の相棒さん、

第7章 どんなサイレンよりも、(神)

『神戸さん…』


「あれ?尊って呼んでくれないの…?」


『嫌、』


「素直じゃないなぁ…」


『煩い、』


「名前で呼ばないと帰る」


『帰ればいい、』


「そんなこと言って‥今くらい素直になりなよ」


甘く囁けば彼女は俯いて目線を反らす。


長い髪が顔を隠してしまったのを指で掻き分けて、その切れ長のハッキリとした綺麗な瞳を見詰めた。


「ほら、呼んでごらん…?」


『───…尊』


「うん、良く出来ました」


頬に手を宛てればスッと引き寄せて、優しく口づける。


『もっとちゃんとして、』


「我が儘だね‥いいよ、」


ワイシャツを引っ張る彼女が見詰める瞳に俺は吸い込まれて、今度は深く口づけた。



(どんなサイレンよりも、)
(何よりも先に駆けつける君だけの紳士)




END

ストーリーメニュー

TOPTOPへ