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君の隣の相棒さん、

第3章 煙草の匂いの彼、(伊)

『先輩』


「な、何だ」


『‥‥あんまり吸いすぎないで下さいね?』


意外な回答だった。
首を傾げて俺はどういう意味かと諭す。


「お前、煙草嫌いなんだろ?普通なら俺に近付きたくないはずのお前が返す言葉は矛盾してるぞ」


『先輩は‥‥いいんです、』


「は?」


『先輩の匂いは、嫌いじゃないんで』


小さく微笑んで少し頬を紅くしている彼奴。


その瞬間、俺の心臓が煩く鳴り始めたことは、彼奴の嫌いな煙草で誤魔化した。




(煙草の匂いの彼、)
(煙草嫌いな彼奴に、初めて近付きたいと思った瞬間)



END

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