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君の隣の相棒さん、

第13章 それでも構わない、(L※)

“僕の秘密、知りたいですか?”


彼のその言葉を聞いてから、俺は誰もいない場所で話したいと言った彼について行った。


「僕、男として育てられたんですよ」


突然、彼の口から発せられた言葉に俺はえ?と彼に向き直る。


彼は表情を変えずに、ただ一点を見詰めていた。


「僕の父は男が‥息子が欲しかったんだ。だから女、娘が生まれた時に父が言ったそうだ」


俺をその黒い瞳が見詰めると、彼は小さく息を吸い込んで吐き捨てるように言った。


「この子は男として育てていく‥‥ってね、」


無茶苦茶でしょう?と呆れ顔で話す彼からは、何処か寂しさを感じた。


その寂しさは恐らく、彼の“彼女”としての本来の姿を見せたせいだからだと思った。

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