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君の隣の相棒さん、

第19章 真似っこ(伊)

『やっぱり‥そっちの方が似合ってます』


「おぉ‥そうか」


何故か嬉しかった。
勿論、朔にそう言われるのは初めてだったからそのせいだとも思った。


だがそれは、朔の次の行動で覆された。


『これは私が貰っておきます。では…!』


サッと俺から取り上げた眼鏡ケースには、さっきまで俺がかけていた眼鏡が入っている。
それで俺は気付いた。
朔は元々それが狙いだったのだと‥‥。


恐らく朔は‥いや、そう言わなくとも確実に彼奴は俺が好きだ。


だから一瞬引き留めようとした朔を、敢えて俺は見送った。


「ったく、仕方ねえー奴だな…」


そう、独り言を呟いた俺は、それから煙草を吸っていた。


朔から貰った、朔と同じ形のだて眼鏡をかけ直して‥‥。




(真似っこ)
(それは“好き”の電波信号)



END

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