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恋してキスして抱きしめて

第9章 あの、立場逆転してませんか?

「………ちーちゃん」



ニコニコ笑う千夏の手をとって

体勢を屈めて目線の位置を合わせる。



「その恋する気持ちは、もしかしたら花火マジックの延長かもしれねーじゃん?」

「そんなことありません!」

「うん、俺もそう願うけどさ。
前にも言ったけど、恋ってただ楽しいだけじゃないんだ」




その言葉で、千夏はやっと落ち着いて

丸い瞳でじっと俺を見つめる。




「夏輝も、……もう1人の依頼人も

ちーちゃんに幸せになってほしいって願ってるんだよ」


「…………!」


「だから、勢い任せとか衝動的ってだけで終わらないように

ちゃんとお互いを知って、ゆっくり進んでいこう」


「…………」


「俺の言いたいこと、分かる?」




俺がそう聞くと、千夏は真剣な表情でコクリと頷いた。


……真面目に語った甲斐あって、今度はちゃんと分かったみたいだな。


ほんのり赤く染まった頬を包み込む。




「大事にしような、その初恋」


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