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恋してキスして抱きしめて

第14章 友人の言葉

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「……記憶ってすげぇな」



エレベーターがメインエントランスに着き、社員カードを翳して外に出ると


高層ビルの合間から覗く夜空を見上げながら、思わずそう呟く。



……奥底まで閉じ込めていたはずなのに


忘れていたのが嘘のように、あの頃の光景が次々と脳裏に浮かんできて


朱莉と再会した日から1週間経った今でも、その記憶は濃さを増すばかりだった。




金曜の、夜9時。


8月二週目の今日で仕事は一段落となり、盆に合わせて会社は明日から夏休みに入る。


多くの社員が、各々休暇前の飲み会へと繰り出す中


俺も携帯を取り出して、今から向かうと簡単にメールを打った。



「………!」



すると、すぐにそいつから返信がきて


………メールを読んだ俺は、溜息を漏らすしかない。



『早くしろよ。逆ナンがウザイ』



はい、出た~~。


その一文だけで、状況が目に浮かぶ。


半端ねぇモテっぷりは、8年経った今でも健在ってことだ。

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