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恋してキスして抱きしめて

第3章 つまり、脅しじゃねーか!

「………質問を戻そう」



俺の表情を読み取ったのか、常務は笑顔を消した。



「 “ 朝倉 ” という名字に、聞き覚えはあるかね?」

「…………」



聞き覚えも何も、昨日の夜に会ったばかりだ。


突如連絡が来た上、数年ぶりの再会だったから、奴の名字なんてすっかり忘れてた。



「………朝倉常務の息子さんとワタクシは、10年以上続く友人です」



自分で言ったはいいけど、全然実感沸かねぇよ。


友達のパパだったんだね♡ なんて言える状況じゃねーし……



「うむ。私も息子と君の関係について知ったのは、昨日の夜でね」

「………!」

「詳しい事はあとで説明するが、まずは私からもお願いをさせてもらうよ」



唖然とする俺の前で、夏輝の父親は深々と頭を下げた。



「ユーリくん。

娘が幸せになれるように、是が非でも君の力を貸してほしい」



………これは


“ お願い ” ではなく、 “ 脅し ” というのではないだろうか。


あまりの衝撃で、この時の俺は、顔を上げてくださいと言うことすら忘れていた。




“ それでもお前は結局、この頼みを断ることはできないんだよ ”

“ すぐに分かるさ ”

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