恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
「……ちーちゃん……?」
「……色々聞いていた、お友達のお話の中でも
あたしが1番好きだった、お兄ちゃんの言葉です」
千夏は、俺から1歩後ろに下がると
思い出すようにふっと笑った。
「……羨ましくて、憧れて
あたしもいつか、ユーリさん達のような恋愛ができればいいなって
大学に入ってからも、いつもそう思ってました」
……千夏が泣きやんで、笑顔になっていくにつれて
急激な恐怖が体中を取り巻いて、俺はふらつきながら立ち上がった。
「……ちーちゃん、待って。
その話は、過去で………」
「…………」
千夏は首を振ると
真っ直ぐ俺を見つめた。
「……病室の、扉の隙間から見えた……
ユーリさんと朱莉さんは……本当に素敵でした」
「…………!!」
「……ユーリさんの、優しい笑顔と
ユーリさんを見た、朱莉さんの笑顔が
本当の、想い合う2人の姿なんですよね……」