恋してキスして抱きしめて
第21章 全力で、取り戻せ
ユーリの会社から近い行きつけのBARで、夜の10時からサシで飲み始めたっていうのに
結局朝方まで飲み続け、喋り続けたユーリはグデグデになり
BARから徒歩10分の、俺のマンションに持って帰ってきた。
……まぁ、そういう俺もかなり飲んじまって、かなりの二日酔い。
「だいたい、何で追いかけなかったんだよ」
昨夜も同じことを聞いた気がするけど、タオルケットにくるまった裸の男に声をかけてみる。
ユーリが俺に説明した、出逢いからサヨナラ宣告までの詳細話は
こいつの得意なトーク術もあり、青春ドラマのストーリーでも聞いているような
昨夜の俺は、そんな感覚に陥っていた。
「……足が、動かなかった」
顔を上げずに、ユーリはボソッと呟く。
「すぐにでも追いかけて、誤解だって言いたかったけど。
目の前が、真っ暗になっちまったんだ」