恋してキスして抱きしめて
第21章 全力で、取り戻せ
………ユーリの瞳の色が変わった。
普段、陽気で軽快な男が、こうして鋭い視線になるだけで
ゾクリとするような感覚が全身に広がる。
………揺るぎない想いに満ちるこの瞬間まで、死んだ魚みたいな目をしていたくせに。
「……夏輝の妹は、この先真剣に恋愛して
お前よりも素敵な男を見つけるさ」
「………だめだ」
「何が?」
「……千夏は、俺が守りたい」
ユーリは、そう呟くと
会社携帯では無い方を手に取って
そのまま耳に押し付けた。
「………すげぇな、ヒメ」
コール音が鳴っている間に、ユーリは俺を見て苦笑する。
「誘導力がハンパねぇ。
お前も優秀な営業マンになれるぜ」
「はは、俺は何も誘ってねぇし、導いてもねぇよ。
お前が好きなだけだ」
「………おい」