恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
………階段を上がった俺に気付き、蓮は微笑むと
右手をクイッと自分の方に動かして、手招きしてきた。
「交代」
「…………」
………これが、学祭マジックか?
夕陽が沈んで、照明の光がキラキラと光り
ヒメの歌によって興奮したギャラリーの目が、全て俺に注がれて
その熱い視線と共に、とんでもねぇ期待が伝わってくる。
爽やかな夏の夜風が吹き抜けて
俺の後ろで、バンドがムード溢れる伴奏を奏でていて
……ボルテージは、まさに最高潮。
緊張と同時に、心の底から何かが込みあげてくる。
「…………っ」
~~環境整いすぎだろ!
ちくしょ~~もうヤケだ!!
アホなふりして乗ってやる!!!
蓮がステージから降りると同時に
俺は、中央のマイクを握り締めた。