恋してキスして抱きしめて
第26章 恋してキスして抱きしめて
「~~~~ふざけんな!!」
部長の横をすり抜けて、俺は夏輝の敬礼した手を引っ叩いた。
全員が息をのむ気配が伝わってくるけど、止まらない。
「何してんだよてめぇは!!」
「だから、今日からここで働くんだよ。
最初は研修期間があって、まだ正社員じゃねぇらしいけど」
「当たり前だろ!!」
大学中退してずっとプー太郎だった奴が、こんな大手に中途で入る事自体が前代未聞。
正社じゃないことに不服そうな夏輝を見て、怒りのボルテージがあがっていく。
「お前筆記試験と面接してねぇだろ!」
「顔パスだった」
「だろうね!」
「なんで分かった?」
「完全にコネ入社だろうが!!」
「まぁね。
だけど俺、歓迎されてるぜ?」
「そりゃ重役の息子になんて誰も口だせねぇよ!」
「お、おいおい浜崎くん」
ギョッとした部長が俺を制止しようと手を伸ばしたけど
ケロッとした顔をして、夏輝がまた1歩俺に近付いてきた。