恋してキスして抱きしめて
第5章 いきなり、任務終了?
…………え?
立ち上がろうとした体を、ピタッと止める。
「誰にも恋をしたことが無いのは、本当なんです」
「……あ、そ、そうなの」
なんだそっちね!!
関係性を疑ったって所で話に入ってきたから、一瞬フリーズしちまったよ。
またしても分かりやすくシュンとするもんだから、俺はイスに座り直す。
「今まで、一度も~?」
「……はい。
お兄ちゃん以外に、素敵だなって思う人に出会えなくて……」
「…………」
「高校までは女子高だったから、出会いって機会もなかったし……」
……払拭された疑惑が、また蘇ってきちゃったよ?
一線は越えないにしても、ブラコンっていうのは合ってるわけね。
「この大学って結構イイ男多いと思うけどねぇ。
恋しよう!とか意気込まないで、自然に友達から入ればいいんじゃねーの?」
「………でも、怖くて」
「は?」
「怖いんです、男の人が」
千夏はギュッと目を瞑る。
「お兄ちゃんみたいに、優しい目じゃないんです。
みんな、なんか変な目をしてる気がして……」
「…………」