仮彼氏。
第8章 気持ち。
―三年前―
『私、千晴と同じ高校行く!』
中学三年生の秋
梨佳の宣言は唐突なものだった
『え、だって梨佳違うとこ行くって…』
『それは昔の話』
『もう秋だよ!?それに偏差値…』
桜野高校の偏差値は68
梨佳は得意教科でも60くらいのはず…
『これから猛勉強するのー!!』
『猛勉強って…』
というかなんでいきなり……
『千晴を守るためなら東大だっていっちゃうもんね!』
『えっ…』
私を、守るため…?
『聞いて、千晴!
私キックボクシング始めたの!!』
『キックボクシング!?』
目を輝かせる梨佳
受験の年にキックボクシング始めるって…
『どんな敵も梨佳様のパンチとキックで吹っ飛ばしてあげるから♪』
『敵?』
『うん、千晴の敵』
梨佳は当然のようにそう言った──