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仮彼氏。

第10章 媚薬。





『……で、今倉内と一緒にいる』

「っ…」

梨佳の話を一通り聞き終わった私の目には、涙が浮かんでいた


「ごめっ、梨佳……
私いっつも守ってもらってるのにっ…」

『なんで千晴が泣くの…』

溜め息を吐く梨佳
おっしゃる通りなんだけど、涙は止まりそうもない


『…千晴』

ヒックヒック言ってると、携帯から耳慣れた低い声が聞こえた


「優っ…?」

『お前は悪くないよ』

「っ…」

体に染み渡る優しい声
目を閉じると、優の笑顔が頭に浮かんだ


『それに、これからは俺が黒田のこと守るから』

「え…?」

『俺たち、正式に付き合うことに…』
『なってないから!』

???
状況が飲み込めない私をよそに、二人が口喧嘩を始める


『勝手なこと言ってんじゃないわよ!
あんたと私は罰ゲームで付き合ってるだけなの』

『はぁ!?
さっきまでアンアンよがってしおらしくなってたくせに!』

『よがってないし!演技だし!』

『んなわけねーだろ!!』


………まぁいっか!

「お幸せに!」



ピッ




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