仮彼氏。
第11章 眼鏡。
「やっぱ黒田すげーな…」
素直に梨佳に感心する銀を見て、私も一つ訊いてみることにした
「前から思ってたんだけどさ、銀ってなんで眼鏡かけてるの…?
それ、度入ってないよね?」
棚に置かれた黒渕眼鏡を指差すと、銀がそれを手に取った
「あぁ、度は入ってない」
「じゃ、なんで?
銀カッコいいのに……」
絶対眼鏡かけてない方がいいと思うんだけどな…
「…俺さ、中学の時結構モテてたんだよ」
「……うん」
あんまり聞きたくないけど、まぁ当然だろう
「けど、それで親父に怒られたわけ」
「なんで…?」
モテて怒られるってどういうこと?…
「『婚約者がいるんだから浮わついてんじゃねー!』ってさ
だから、顔隠すために眼鏡してんの
…そしたら性格も眼鏡かけたら隠れるようになった」
「そうだったんだ…」
………って!!?