仮彼氏。
第2章 おかしい。
「…いい加減、手離してよ」
「はぁ?これくらいさせろよ」
「意味分かんないし…」
優は校舎を出てからも私の手を離す気配がない
それどころか、いつの間にか恋人繋ぎになっていた
「ちっちゃいときはよく手繋いで歩いてただろ?」
「それは昔の話!」
家が近かったこともあって、優とはよく一緒に遊んだ
「…というかさ、お前ほんとに向島と付き合ってんの?」
「え」
やばい、疑われてる…!?
「つ、付き合ってるに決まってんじゃん…!」
「…あっそ」
これ、心臓に悪いよ…
「な、なんでそんなこと…」
「……千晴が俺のこと拒まねーから」
「…?」
……あ、手繋いでることか。。
「っそれは優が…!」
「本当に嫌なら離すよ?」
「っ……」
別にそれほど私が嫌がってないって、きっと優は分かってる
「……向島に無理矢理付き合わされてるとかだったら、俺がお前のこと守ってやるけど」
ドキッとする台詞
けど…
「それは違う…!
私からコクったし……」
仮だけど、事実は事実。
「まじか、萎えるわ……」
ガックリと肩を落とす優
「なんで?」
「…お前あほか。
好きな人が別の男にコクるって、相当ショックだぞ」
「ふーん…」
「…他人事かよ」
優がまた溜め息を吐いたとき、マンションに到着した
「…送ってくれてありがと」
「どういたしまして
じゃ、早く俺のこと好きになれよ」
「む、無理って言って…」
「じゃーな!」
私が喋ってるのを遮り、優は手を振って去っていった