手探りな絶望
第6章 溺愛
相変わらず
やや緊張ぎみの冬実を
2人掛けのソファーに
座らせ
俺も
その隣に
腰を下ろした
「いいよな?
俺、彼氏だから」
そう笑ってみせると
冬実は
頷きながら
照れて笑った
相変わらず
冬実は
おとなしい性格で
一緒にいても
穏やかに時が過ぎる
そんな中
まだ
手をつなぐことしか
していない俺は
次の展開を想像しては
顔がニヤけるのを
必死で我慢しながら
2人の時間を楽しんだ
付き合いはじめは
お互いのことを
知りたがるもんで
なんにもしていないのに
話しをするだけで
楽しくて
あっという間に
時間が過ぎていく
冬実に
触れたいのに
そんなことしないまま
時間が
過ぎていく
佐々木さん
そう
まだ呼んでいて
藤沢さん
そう呼ばれているのに
訂正できないまま
時間だけが
・・・・過ぎていく