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手探りな絶望

第6章 溺愛


嘘だろ…




俺の視線の先には


ソファーの上に
置いたままだった
バックを
ぎゅうっと握りしめる
冬実の白い手が見えた



なんで…


なんで
いつも
そんなことしてんだよ


多分
そのバックの中には
あの赤い携帯が
入ってるはず


なんで
携帯二台持ってんだよ


なんで
ガラケーの番号
教えないんだよ


くっそ



俺はまた
見えない何かに
勝手に嫉妬しはじめ


ちょっと

熱くなって



なんだか

…イラついて




少し強引に


冬実を
抱き上げた




「あ、しゅ…周平さん…」



トサッ…



バックが
冬実の手から
滑り落ちたのを確認し

冬実の動揺に
返事もしないで

俺は
ベットまで
冬実を抱えたまま歩いた



「あ、ちょっと…あの…」



ごめん



ちゃんと

俺のものにしたい

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