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手探りな絶望

第6章 溺愛

「冬実…」


俺は
愛おしい
冬実の涙をぬぐった


「俺は
別れたくなんかないんだ

本当のことが
知りたかっただけなんだ
嫌いになったりしてないよ

冬実」



「でも…でも…」



冬実が
顔を隠すように
両手で顔を覆った



「でも…何?」



「秘密は…辛いから…」


秘密


その言葉を
聞いた瞬間
俺の心臓がドクンッと
音を立てた



「…うん」



「全部話したい…

全部全部
話したいの



話したら
嫌われるかもしれないけど


それでも
もう
かまわないの


…辛いの…」




冬実の
秘密の重さを想像し
俺はじんわりと
変な汗をかいた



「嫌われてもいいなんて
言うなよ

冬実の話
まだ聞いてないけど
俺は
冬実が

好きだよ」



それから
俺は

冬実に
甘く深いキスをした



冬実が
消えたりしないように
しっかり抱きしめながら


何度も

何度も

冬実に
舌を絡めた




もしかしたら

別れてしまうんだろか




そんなことを

考えながら。

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