手探りな絶望
第8章 懇願
俺が目を覚ましたのは
それから数時間後だった
「周平さん…周平さん…」
軽く
身体を揺すられ
俺は目を覚ました
「あっ…ん…
ごめ…寝ちゃった…」
冬実は
もう布団の外にいて
パジャマのようなものを
着ていた
「起こしちゃって
ごめんなさい」
「…いや
ごめん、寝ちゃって…」
てか
何時だろう…
やっと目を開けた俺は
意識がハッキリしないまま
カーテンの隙間から
うっすらと明るくなる
夜明けの時間を感じとった
「…あ、あの…」
膝まづいて
俺に話しかける
冬実から
甘い、風呂上がりの香りがした
思わず
冬実の頭を
抱き寄せ
キスをすると
このまま
また
布団の中に
引きずり込みたくなる
「冬実…いい、におい…」
「…あ、あの…」
目を閉じて
まったりした気分に
浸ってると
俺の耳元に
冬実が
小さな声で囁いた
「あの…
周平さん」
「…ん?…」
なんだろ…
この幸福感
「そろそろ…
帰ってもらっても…」