手探りな絶望
第12章 愛情
涙が
止まると
お母さんは
こんなことを囁いた
「冬実
変なこと言ってもいい?」
「変な…こと?」
「お母さん…
ちょっと元気になったかもしれない」
「……え?」
「冬実が悲しい思いしてるのに
本当にごめんね?
でもね
ずっとずっと冬実が
お母さんのこと心配してくれてて
ずっと心配かけちゃいけない
ガンバらなきゃって
思ってたの、毎日。
けど…今日冬実が
お母さんに心配かけてくれて
お母さん
冬実を心配することができて
うまく言えないんだけど…
嬉しかったわ
それにね
一瞬、
色んなこと忘れてたみたい
ほんの少しの間
千夏の悲しいこと
忘れたのに
からだ
ポカポカしてた
冬実…
今までずっと
ごめんね…」
お母さんは
そう言って
私の手をぎゅーっと握りしめた
そして
元気になったと言ってたのに
お母さんは
涙を流し
私もまた
涙を流した