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手探りな絶望

第13章 手紙


そんなことがあってから
私は
お母さんと
色んな話をするようになった


ほとんど
話したことのない
恋の話や
禁じられていたかのように
話さなかった
お姉ちゃんのことまで…。


「そう、グラタンを食べたのね」


「うん、グラタンがね
すっごく熱いんだけど
すっごく美味しかったの
お母さん
今度、食べに行かない?」


「そうね、行きたいわ」


「それでね
しゅ…あ、その人はね
スポーツマンで
すごく野球が上手なの」



「そう
冬実は
お姉ちゃんと野球見るのが
好きだったものね」


「うん
お姉ちゃんは
どうして野球好きになったんだろ…」


「どうしてかしらね…
中学に入って
野球部のマネージャーやるって
言ったときは
お母さん、びっくりしたのよ?」


「私も(笑)」


「でも…
マネージャーなんて
しなきゃあんなことに
ならなかったかも
しれないわね…」


「お母さん…」


「あの子も
野球部だったものね・・」


「……」




その手紙が見つかったのは
お姉ちゃんが
亡くなって
3年ほどたった頃
住んでいた家を手放すことになり
ずっと
そのままにしていた
お姉ちゃんの部屋を
片付けた時のことだった

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