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手探りな絶望

第13章 手紙


「その手紙にはね



『死んでね。

織田周平を
守りたかったら

ひとりで死んでね』



そう
書いてあったの・・・」



私の
呼吸が
一瞬止まり

言葉を失った。



「千夏は
織田くんを
守ったのよね・・」



「ちょ、ちょっと待って
お母さん
お姉ちゃんは
織田周平にイジメられてたんじゃ
なかったの?!」



「多分…。

千夏は
他の誰かに
イジメられてたんだと思うわ…」




「ひ、ひどい・・・

いじめてた人、誰?
ねぇ、お母さん
誰だったの?!」



「・・分からないのよ・・

お母さん
あの頃もう
病気になっていて
お父さんとは離婚してたでしょ?
だからね
その手紙を書いた人を探すとか
そうゆうこと

できなくてね・・


千夏がね
いじめのニュース見ながら
こんなこと
言ったことがあるの

いじめてる子の名前を
自殺する前に
書き残したりしたら
そのいじめてる子は
どうなっちゃうんだろう

って。

結局
また誰かを恨んで
ずっとずっと
そうやって生きていくのかな

って。


千夏は
優しい子だったわ

きっと千夏は
織田くんのことも
いじめてた子のことも
最後まで守ったんだと思うの

お母さんね
入院してる間
ずっとそんなことを
考え続けてきたの


それでね

千夏の想いを
貫かせてあげようと
思いはじめたのよ


いじめてた子は

もう

反省してると
思うの・・」





「・・・」




そんなことない

いじめてた人は
「ラッキー」
って思ったんじゃないの?


そう思った

でももう
どうにもならない過去を
自分なりに整理した
お母さんを見てると


私に
そんなことは
言えなかった




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