テキストサイズ

手探りな絶望

第17章 抱擁


・・翌日・・



大きな花束を抱え
俺は
「佐々木優子」
と書かれたドアの前に
立っている


大きく
息を吸って
花束をぎゅっと
握りしめ

そして
目を閉じ

俺は
ドアをノックした


コンコン・・


「はい」


冬実の声が聞こえて
静かにドアが開いた


なんて言えばいいのか
わからず
俺が黙って立ってると
冬実は

「どうぞ」

って俺を部屋の中へと
促した


「う、うん・・」


部屋に入ると
ベットに座った
佐々木優子さんが
すぐに目に入った

冬実と同じ
とても色の白い
佐々木優子さんは
優しく微笑みながら
俺に声をかけた


「いらっしゃい
待ってたのよ?

さ、どうぞ・・」


そう言って
目の前の椅子に
手を向けた


「は、はい・・

お邪魔します
それからこれ・・」


ぎこちなく
花束を手渡すと
優子さんは

「ありがとう」

と言ってから
冬実に花束を渡し

「お願いね」

と、冬実に声をかけた



冬実は
その花束を持って
部屋から出ていってしまい


俺は


佐々木優子さんと


ふたりきりに
なってしまった


ストーリーメニュー

TOPTOPへ